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戦姫絶唱シンフォギアXV リレー連載 第5回

雪音 クリス役 高垣 彩陽

スタッフ&キャスト陣によるリレー連載第5回のゲストは、雪音 クリス役の高垣 彩陽さんです。
『AXZ』で過去の因縁に決着を付け、迷いを断ったクリス。ひと回り成長した彼女に、高垣さんは何を思うのでしょうか?

――第6話までの展開を振り返って、率直な感想はいかがですか?

高垣 『AXZ』も出し惜しみがないと感じましたが、『XV』はTVシリーズ完結編と謳っているだけあって、かつてないほど内容がてんこ盛りだなと感じます。第1話にして全員曲があり、いい最終回だなと思いましたし(笑)、第3話では訃堂さんが黒幕であることがわかり、これも普通だったら中盤以降にあるような展開だなと驚かされました。完結編ということで、きっと適合者の皆さんの期待値も上がっていると思いますが、その期待を確実に超えてきている前半戦だったなと思います。

――装者同士の関係性についてはいかがでしたか?

高垣 第5話で6人とエルフナインちゃんが食堂でお喋りするシーンを見たときに、関係性が熟したなと感じたんです。それぞれ、6人の中でのあり方や立ち振る舞いが確立され、お互いをフォローしたり思いやったりするのが当たり前にできるようになっていて。もちろん、翼さんは心の中に複雑な思いを抱いていたと思いますが、それを踏まえてもこの6人の関係を安心して見ることができました。

――第5話は、クリスがエルフナインの物まねをしていましたね。

高垣 “ネタ”という意味でも、金子(彰史)さん、出し惜しみがないなと思いました(笑)。まさか、ラジオ(『戦姫絶笑シンフォギアRADIO』)で生まれた“アヤヒナイン”ネタを逆輸入してくださるとは思わなくて。すごく嬉しかったですね。ただ、あれはアドリブではなく台本通りです! 私がエルフナインちゃんの物まねをする“アヤヒナイン”ではなく、クリスが物まねをする“クリスナイン”だということは声を大にして言っておきたいです!(笑)

――(笑)。でも、キャラクター愛、キャスト愛を感じる展開ですね。

高垣 ラジオだけではなくて、ライブから逆輸入された『花咲く勇気』もすごくよかったです。響とサンジェルマンさんのデュエットは、「シンフォギアライブ2018」であおちゃん(悠木碧)が提案して実現したアイデアだったんです。それをアニメ本編にも汲み取ってくださるなんて、あおちゃんのキャラクターへの想いの深さとスタッフさんの愛情なしには実現しえなかったことだと思いますし、改めてチームとしての結束力や親密さを感じました。

――『XV』のクリスについてはどんな印象をお持ちになりましたか?

高垣 第6話で翼さんが切歌に当たったとき、クリスが翼さんをたしなめたことにびっくりしました。クリス自身も未来たちを助けられなかったことに苛立っているし、翼さんが焦る気持ちもわかっている。でも、一番つらいのは響だとちゃんとわかっていて、翼さんに理解を求めるんです。翼さんのことも響のことも慮れる、この行動にはハッとさせられました。

――クリスは今まではどちらかというと気遣われるほうが多い印象でした。

高垣 そうなんです。もともと誰かのために行動できる人ではあるのですが、こんなに直接的に相手の気持ちを汲み取るとは思わなかったので、嬉しい驚きがありました。エルフナインちゃんの物まねもそうなのですが、あれもただ物まねをしただけではなくて、「響についていけばいいじゃん」という助け船の意味もあったんです。こんなに他人をフォローできるようになったのだなと思って、ジーンときました。

――あのシーンはどのように演じようと?

高垣 翼さんを責めるような形にはしたくないと思っていました。翼さんが部屋を立ち去るときに、クリスの少し驚いたような困惑したような息のアドリブが入っていますが、実は吐き捨てるような強めのパターンもリクエストされたんです。でも、クリスは翼さんの気持ちもわかるだろうし、翼さんだけを責めることはしないのではないかと、少し引っかかってしまって……。
それで、Aパートの収録が終わったあと、スタッフさんのところへ行って「クリスは翼さんの気持ちもわかっていると思うので、責めるような態度はどうなのでしょうか……」と生意気ですがご相談させていただいたんです。そしたら「こちらでも同様の意見が出ていたので使いません」とおっしゃってくださって。やっぱりスタッフの皆さんも同じ気持ちだったのだなと思えて、すごく嬉しかったですね。

――では、キャラクターソングについても聞かせてください。『Take this! “All loaded”』はいかがでしたか?

高垣 歌詞を読ませていただいたときに、過去のキャラクターソングの要素が入っていたり、「Futurism」というフレーズがあったりと、上松(範康)さんの遊び心と作品への想いが込められた集大成感のある曲だなと思いました。特に「Futurism」は『AXZ』のEDテーマのタイトルで思い入れも強いので、とても嬉しかったです。

クリスの戦闘曲は攻撃的な面もありますが、どこか切なさがあるのも特徴です。今回の曲もクリスがさまざまな出会いと経験を経て、葛藤を乗り越えたことで今に辿り着けたことが描かれています。タイトルはレコーディングのあとに決まったのですが、金子さんに意味を伺ったら、「今までの歌詞が全部乗せというだけではなく、クリスの想いも『シンフォギア』に込めた想いも全部乗せなので、このタイトルにしました」と教えてくださって、とても感動しました。じっくり読んでいただければ、キャラクターや作品に込められたさまざまな想いが紐解けるのではないかなと思います。

――クリスの変身バンクの感想はいかがでしたか?

高垣 躍動感に溢れたアクションとカメラワークで、とても見応えがありました! 今回は恒例の「ばーんっ!」に加えて、もう一箇所アドリブを求められたんです。「胸に弾丸をはさんで、それを胸で押し上げるのですが、そこにお願いします」と。もう、びっくりしました!(笑) 結果、「よっ!」という掛け声のようなアドリブにしたのですが、かつてないディレクションが面白かったです。

――カップリングの『あしたのあたし』の感想についても聞かせてください。

高垣 前回が『とどけHappy♡うたずきん!』だったので、今回はどんな曲がくるのかと思っていたら、まさかの卒業ソング! しかも過酷な幼少期を過ごし、歌が嫌いだと言っていたクリスが、歌が大好きだと堂々と言い切れるようになっていて……。感慨深いものがあります。自分が受け取ってきたものを今度は誰かに差し伸べたいというところにもクリスの成長を感じて胸が熱くなりました。

――さて、いよいよ8月21日にはEDテーマ『Lasting Song』がリリースされます。作詞を担当された高垣さんは、この曲にどのような想いを込めたのでしょうか。

高垣 藤田(淳平)さんからいただいた曲が、これまでのEDテーマを踏襲した集大成的な曲であり、新しさも感じられる作り込まれた曲だったんです。自分が本当に作詞できるのか不安もあったのですが、シナリオを読ませていただき、金子さんから「別離の歌」というアイデアをいただいて、イメージを膨らませました。

――別れを描く曲ということですか。

高垣 ええ。金子さんは「別れがあるからこそ、出会いを尊べる歌にしてほしい」と。歌詞を書いていた時期は私自身も別れというものに対していろいろ考えていた時期で、金子さんのアイデアやシナリオを踏まえ、「失われてもこの曲にあなたを感じる」というテーマで作詞をしようと思いました。
作中の展開もそうですし、『シンフォギア』シリーズについてもそうですが、何かが一つの終わりを迎えたとしても、この歌を聴くとあの頃に戻ることができる。別れは悲しいけれど、確実に生み出してきたものがあるのだからと伝えられる曲にしたかったんです。

――この曲もどこか「これまで」と「これから」を感じさせる集大成感がありますよね。

高垣 第1期から第4期までのEDテーマのフレーズを組み込んでいますし、シナリオを読んでからの作詞だったので、『XV』の物語ともリンクする内容になっています。特に2番の歌詞はアフレコが始まってから書いたもので、アフレコで得たエネルギーやインスピレーションを盛り込むことができました。『シンフォギア』シリーズへの想いを感じていただきつつ、この先の展開の考察も楽しんでいただけたら嬉しいです。

――では最後に、第7話以降の注目ポイントを教えてください。

高垣 このあともびっくりするような展開があります。新たにレコーディングをして、まだ登場していない曲もあるので、どんな曲がくるのか楽しみに待っていてください!

◆コラム◆

演じているキャラクターを漢字一文字で表すと?(キャラクターの名前以外で)

歌が嫌いと言っていたクリスですが、今や歌が大好きと言えるようになりました。