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戦姫絶唱シンフォギアXV リレー連載 第9回

エルフナイン 役 久野 美咲

キャロル・マールス・ディーンハイム 役 水瀬 いのり

スタッフ&キャスト陣によるリレー連載第9回のゲストは、エルフナイン役の久野 美咲さんとキャロル・マールス・ディーンハイム役の水瀬 いのりさんです。
さらに成長したエルフナインと復活を遂げたキャロル。二人の絆とその戦いについて語っていただきました。

――『XV』でキャロルが復活することを知ったとき、どんな心境でしたか?

水瀬 キャロルとエルフナインは二人で一つの存在ですし、いつか復活したらいいなと思っていたので、キャロルが復活すると聞いたときは嬉しかったですし、きっとキャロルファンの方にも喜んでいただけそうだなと思いました。

久野 『GX』の最終話でお別れして以降、エルフナインはキャロルにまた会える日を待ちわびながら研究を重ねてきたので、二人が再会できたときは感無量でした。エルフナインが窮地に立たされたときに助けにきてくれたという登場の仕方も劇的で、なおさら嬉しかったです。

――水瀬さんは、『シンフォギア』のアフレコは久しぶりだったと思いますが、緊張などはなかったですか?

水瀬 『GX』のときとアフレコスタジオが変わっていたという驚きはありましたけど(笑)、変に緊張することはなかったです。それはたぶん、キャロルを演じていた4年前よりも美咲との心の距離感が近くなって、心強さと安心感があったからだと思います。

久野 確かにあの頃よりも、もっと仲良くなったよね!

水瀬 『GX』の頃はまだ「久野ちゃん」って呼んでいたもんね。

久野 私もたぶん「いのりちゃん」だった気がする(笑)。

水瀬 他作品での共演があったのも大きいんですけど、気づいたら「美咲」と「いのり」の仲になっていて。その原点はやっぱり『シンフォギア』だったなと思うんです。『XV』の最終話のアフレコ前には、「キャロルとエルフナインは私たち二人にとって本当に嬉しい共演だったね」って、LINEでやり取りしていました。最終話の収録が終わり、改めて私たち二人でキャロルとエルフナインを演じられてよかったなと噛みしめています。

久野 そんな風に言ってもらえて嬉しいな…。私もおんなじ気持ちだよ!

水瀬 4年前には想像できなかったけど、美咲の存在の大きさに助けられています。

久野 えへへ。なんだか恥ずかしくなってきちゃった(笑)。

――今回のキャロルを演じる上で、何か意識したことなどはありますか?

水瀬 アフレコ前に『GX』を何話か見返したんですが、収録当時はまだ20歳になる前で、このときのキャロルは当時だからこそできたお芝居だったなと感じたんです。この4年間でできることは増えたけれど、当時しかできないこともある。まったく同じお芝居をするのはかなり難しいぞ、と。ただ、台本を読んだときに少し変わったなと感じるところがあったんです。弱い者を力でねじ伏せてきた絶対的な強者ではなく、力を認めた者たちに手を貸す導き手のような存在感があって、これは響とぶつかり合い、エルフナインと一緒の時間を過ごしてきたからなのかなと思い、そこを取っ掛かりにしようと思いました。

久野 確かに、憎悪に満ち溢れていたキャロルはもういなくて、どこか憑き物が落ちたような印象を受けました。エルフナインや装者たちのことを守るために戦う姿が新鮮でしたし、彼女の元々持っていた心の綺麗さが感じられて嬉しかったです。

水瀬 たぶん響と戦って人の温かさを知り、この手は誰かを傷つけるためにあるわけじゃないとわかって、みんなを導いてやりたいという想いが生まれたんでしょうね。美咲が言ったとおり、『スフォルツァンドの残響』も憎悪や恨みのような負のオーラはまったく感じられなくて、より気高く自信に満ちたキャロルの想いを感じ取ることができました。

久野 キャラソンも、すごくカッコよかった! 力強くて凛々しくて、本当にキャロルらしい曲だよね。

水瀬 カッコいい曲だけど、もし人前で歌う機会があったらお面を付けないと恥ずかしくて歌えないかも(笑)。

久野 え、どうして!?

水瀬 だって、「高くつくぞ?オレの歌は」だよ? 絶対的な自信がないと歌えないです(笑)。でもこれがキャロルらしさなんだろうなと思って、そこに込められた想いをなんとか表現しようと思いました。

――アフレコ現場で歌ってみての感想はいかがでしたか?

水瀬 すごく疲れました……!

久野 普通に歌うだけでも難しい曲なのに、戦いながらだとハイカロリーだよね。

水瀬 ものすごく汗をかきましたし、息が上がって酸欠状態になりかけてしまって……。アフレコ現場でそんなことになるなんて普通はないので、改めて『シンフォギア』の現場はすさまじいなと実感しました。

――第8話はキャロルとエルフナインが会話するシーンがありました。

水瀬 かわいかったね。

久野 かわいかった~♪

水瀬 キャロルもエルフナインには強く当たれない部分があるんだなって驚きましたし、なかなか素を見せる相手がいなかったので新鮮でした。これが二人の絆なんでしょうね。

久野 離ればなれだったはずなのに、ずっと一緒に過ごしてきたんじゃないかって思えるくらい、近い距離感で自然なやり取りになったよね。

水瀬 一見するとキャロルのほうがお姉ちゃんっぽいんですけど、純粋で真っ直ぐなエルフナインを前にすると、ぶっきらぼうで強気なところが引っ込んでちょっと戸惑ってしまうところがかわいかったです。

久野 エルフナインはキャロルのぶっきらぼうなところも全部受け止めているんですよね。なんだろう、キャロルにだけ見せる包容力があるんです。お互い足りないところを補い合える関係が素敵だなって思いました。

――では、『XV』のエルフナインについても聞かせてください。これまでのシリーズと比べて何か変わったなと感じるところはありましたか?

久野 難解な言葉を使って解説する役割に加えて、以前よりもみんなをサポートしたい意志が強くなった気がしました。特に今期は、翼さんや未来さんといった大切な仲間が目の前で大変な目に遭ったこともあり、司令室にしかいられないことを歯がゆく思っているような気がしたんです。そのもどかしさから実際に行動に移せたのが、第7話でした。

未来さんを救うためにオートスコアラーと力を合わせるところは、エルフナインの成長が感じられてグッときました。

――ファラとレイアに謝るのではなく、ありがとうと感謝したところからも彼女の成長が感じられました。

久野 そうなんです! 以前のエルフナインだったら絶対、「ずびばぜん」って謝っていたと思います(笑)。でも、ファラとレイアを信じて、感謝して、みんなが頑張っているんだから自分も頑張るんだと前向きな気持ちで走り出すんです。気弱だった彼女が強くなれたのは、今まで一緒に過ごしてきた装者やS.O.N.G.の皆さん、そして何より、キャロルという心の支えがあったからだと思います。

水瀬 キャロルを演じる身としては、そんなに想ってもらえて嬉しいです。

久野 休暇中もキャロルの想い出の断片を拾い集めて研究に励んでいましたからね。本当に健気ですし、心から再会したかったんだろうなって思います。

――ちなみに、今期はなんとエルフナインにも歌唱がありました。第4話のあとのTVCMでは、歌うことはないと「余裕ぶっこいて」いましたが……。

久野 誤解のないようにこの場をお借りしてお伝えしますが、「余裕ぶっこいて」いたのは私ではなく、エルフナインですからね!!みなさん!!(笑)CMで視聴者の方を「もしや……」と引き込んで、その1週間後にフラグ回収するというのがすごいです!(笑) さすが『シンフォギア』だなと思いました。私自身としては、エルフナインとして歌を歌うことができて、とっても嬉しかったです!

――しかも、尾崎紀世彦さんの『また逢う日まで』という渋いチョイスでした。

久野 『また逢う日まで』という曲自体は存じ上げていたんですが、なぜエルフナインはこの歌を知っていて、どうしてこの歌を選んだのか疑問に思ったんです。それでスタッフさんに理由を伺ったら詳しくは決まっていないとのことだったので、たとえば弦十郎さんから「この曲いいよ」って教えてもらったのかなとか、研究熱心だから昭和歌謡というものを調べたときに出てきて密かに練習していたのかなとか、私なりにいろいろ想像してレコーディングに臨みました。

水瀬 でも、考え出したら切りがないよね。

久野 だから、一番大事なのは何かって考えたときに、やっぱり「キャロルにまた会いたい」という気持ちだろうと思ったんです。

水瀬 すごい、ラブソングだ!

久野 そうなの。これはエルフナインからキャロルへのラブソングなんだ!っていう気持ちで歌いました。

水瀬 嬉しい! 実は、美咲がレコーディングした日に「キャロルと、そしていのりを想って歌ったよ」ってメッセージがきたんです。ということは、これ私へのラブソングでもあるってことですよね? 嬉しいなぁ。早くフルで聴きたい!

久野 Blu-rayの特典につくので、ぜひ!(笑)

――そして、第12話ではキャロルとシェム・ハ未来の一騎打ちがありました。

水瀬 シェム・ハになった未来さんは、装者たちが今まで戦ってきた敵とは強さの方向性が全然違っていて、キャロルとしてもどう立ち回るのが正解なのかわからないような敵でした。攻撃も言葉もちゃんと届いているのかすらわからない、まさしく神と呼べる存在で。感情も見えなければ手応えもわからなくて、演じていてもシェム・ハに対するわなわなとした感情ともやもやした感情の両方がありました。

――神であるシェム・ハ未来に食らいつくキャロルもすごいと思いました。

水瀬 第12話も『スフォルツァンドの残響』を歌いましたが、私も命を燃やすつもりで臨みました。ただ、キャロルも無敵ではないんだなと思わせられるシーンがたくさんあって、そこがちょっと切なくなるポイントでしたね。しかも、キャロルが戦うということは想い出という自分そのものを燃やしているわけで、カッコいい姿を見せれば見せるほどキャロルという存在が消えていくんです。そう考えると苦しくなってしまって……。でも、みんなが帰ってくる場所をエルフナインと一緒に守ろうとする姿は本当にグッときました。

久野 キャロルが必死になって戦っている姿には、胸が苦しくなりました。せっかく再会できたのに、キャロルが倒されてしまったらと思うと不安で仕方なくて。エルフナインがボクの想い出も焼却すると言っていて、あぁ、この戦いは自分を犠牲にしてでも誰かを守る戦いなんだなと思ったんです。キャロルとエルフナイン、二人の覚悟を感じ取って、私も「キャロルとの想い出がなくなっても、それでも……」という強い気持ちでアフレコに臨ませていただきました。

水瀬 エルフナインもカッコよかった!

久野 ありがとう! エルフナインは「あまりの怖さに腰が抜けそうです」と怯えていて、たぶん一人じゃ絶対に戦えなかったと思うんです。でも、未来さんが以前、自分を庇ってくれたことや、キャロルが一緒にいることが力になって、みんなのために戦うことができたんです。そういう意味では、どこか心強さもあったんじゃないかなって思います。

――戦いのあと、装者たちに向けて絶叫するキャロルの姿も印象的でした。

水瀬 『GX』の「何するものぞ! シンフォギアアアアアアア!」という雄たけびとは違って、この雄叫びは装者への憎しみもありつつ、信頼も込められているのかなと思いました。『XV』のキャロルは装者たちが生み出す力を高く買っているようにも見えたので。あのキャロルが装者たちの力を認め、彼女たちが帰ってくる場所を繋ぎとめようとする姿は感慨深いものがあって、私も気合いが入りました。

――いよいよ残すところあと1話となりました。最終話の見どころを聞かせていただけますか?

久野 物語の結末にも注目していただきたいですが、やっぱりキャロルとエルフナインがこのあとどんな選択をして、どんな決断をするのか。キャロルとエルフナインの関係性を最後まで見守っていただけたら嬉しいです。

水瀬 響と未来だけではなく、キャロルとエルフナインにもスポットライトを当ててくれた最終話になったので、この二人がどんな生き方、在り方を見せるのか注目していただきたいです。私と美咲は、改めてこの二人のことが大好きになりました。

◆コラム◆

演じているキャラクターを漢字一文字で表すと?(キャラクターの名前以外で)

(水瀬)

気高さ、高貴さ、力強さを兼ね備えたキャロルは、王様であり王女様でもあるのかなと思います。

(久野)

いつでもキャロルの存在が心にありますし、二人だからこそ生きていける。そんな、二人は決して切り離せない関係だからです。